CISTAが取り組む「抗がん剤治療後の縮毛矯正」誕生ストーリー

導入：「髪の悩みを解消」することは、心を整えること

東横線・綱島駅からほど近くにある美容室「CISTA（シスタ）」。
この小さなサロンでは、他の美容室では断られてしまうような“難しい髪”に向き合う美容師たちがいます。

縮毛矯正を専門に13年以上、多くのお客様の髪の悩みに寄り添い続けてきたCISTAが、あるとき新たな挑戦を始めました。
それが――**「抗がん剤治療後の方のための縮毛矯正」**です。

髪の悩みを解消することが、その人の「生き方」や「希望」を取り戻す一歩になる。
そんな想いから生まれたこの施術は、今、美容という枠を超えた“支援”として注目を集めています。

抗がん剤治療を終えた方々は、脱毛ののちに再び髪が生えてくる過程を迎えます。
しかし、多くの方が驚かれるのがその髪質の変化です。

「以前はストレートだったのに、チリチリとした縮れ毛になってしまった」
「ウィッグを外したいけれど、どうにも髪がまとまらない」
――そんな声が後を絶ちません。

実際、抗がん剤の影響で再生した髪は、毛根や毛幹の形状が変化し、
強いクセ毛やうねり、乾燥、パサつきといった特徴を持つことがあります。
それは単なる“見た目の変化”にとどまらず、社会復帰や日常生活において心理的な負担となることもあります。

美容師として長年、さまざまな髪の悩みを解決してきたCISTAのオーナーは、
あるお客様の一言に心を動かされました。

「治療は終わったのに、鏡を見るとまだ“病気の自分”のままなんです」

私はこの言葉を聞いて、胸が締めつけられる思いがしました。
長年、縮毛矯正を専門にしてきた私たちは、どんなダメージ毛でも喜ばれる髪に再生させてきたという自負があります。
それでも、抗がん剤治療後の髪はまったく未知の領域でした。

通常の縮毛矯正の薬剤や熱処理では、かえって髪を傷めてしまうリスクが高い。
“施術しないほうがいい”といわれる美容師さんも少なくありません。
でも私は思いました。

「美容師ができる可能性を、ここで諦めてはいけない」

研究と検証を重ね、薬剤の濃度・温度・アイロン圧力を細かく調整し、
髪一本一本の“再生フェーズ”に合わせた独自の技法を確立しました。
それが、CISTAの「抗がん剤治療後の方のための縮毛矯正」です。

この施術を始めてから、たくさんの物語が生まれました。

あるお客様は、抗がん剤治療を終えて２年ほど。
新しい髪が生えてきて嬉しい反面、その髪は驚くほど強いクルクルの毛でした。
帽子を手放せない日々が続き、「３年ぐらいすれば元に戻りますよ」という言葉を信じて我慢しておられたそうです。

しかし、彼女が一番つらかったのは自分の外見そのものではありませんでした。
身近な家族が、変わってしまった髪に気を遣ってくれていることが逆に苦しかったのです。

そんな中、遠方から希望をもってCISTAへご来店くださいました。
施術は慎重に、けれど順調に進みました。
仕上がったご自身の姿を鏡で見つめながら、彼女は静かにこうおっしゃいました。

「これで実家の親に会えます」

最初はその意味がすぐには分かりませんでした。
お話を伺うと、同居する家族にはウィッグを外した姿を見せられても、
遠く離れた高齢のご両親には以前とは違う髪の状態を見せられなかったのだそうです。

何かと理由をつけて顔を合わせずに過ごした２年。
本当は会いたいのに会えなかった日々が、ようやく終わる――。

その笑顔には、安心・希望・喜びが入り混じっていました。

「ありがとうございました」

その一言に、私たちは言葉にならない思いを感じました。
髪の悩みが解消されることで、失われていた“日常の絆”を取り戻す。
そのお手伝いができたことを、心から誇りに思いました。

私は思います。
髪の悩みを解消するということは、単に外見を整えることだけではありません。
それは、その人が“再び日常へ戻る勇気”を手にするかどうかという、特別で大切なことです。

美容師という仕事には、人の心を癒やす力があると信じています。
そして、抗がん剤治療後の方々にとってそれは、
「病気の記憶から、前を向くためのきっかけ」になるのだと思います。

CISTAはこれからも、この技術と想いを磨き続けます。
そして、全国の美容師が同じ志で取り組めるような環境をつくり、
“美容の力で支える医療”を広げていきたい。

髪の悩みを解消することで、人は笑顔を取り戻す。
その笑顔こそが、私たちがこの仕事を続ける原動力となっています。

抗がん剤治療後の髪の悩みは、まだ多くの人には残念ながら知られていません。
けれど確かに、そこには苦しみと希望の両方が存在しています。

CISTAは、縮毛矯正という技術を通してその希望を形にする美容室です。
私たちは今日も、綱島の小さなサロンから、
「髪を通して生きる力を取り戻す」お手伝いを続けています。