ウィッグ生活って、いつまで続くんだろう
治療が終わった。
でも、ウィッグ生活は終わらない。
「いつまで続くんだろう」
そんな気持ちになることは、決して珍しいことではありません。
回復美容を続けていると、
「まだかな…」
そんな声を聞くことがあります。
ウィッグ生活が大変になるのは、髪が生えてきてからかもしれません
職場復帰を控えている方は、治療後1ヶ月を過ぎた頃が多い印象です。
この頃は、まだ再生毛もほとんどなく、フルウィッグで生活される方がほとんどでしょう。
「ズレないかな」
「職場で大丈夫かな」
そんな不安を抱える方も多いですが、ズレ防止のアイテムはたくさんありますので、そこまで心配する必要はありません。
本当に大変になってくるのは、むしろ髪が生えてきてからかもしれません。
なぜなら、5cmほど伸びてくると再生毛特有のクセ毛(ケモカール)が目立ち始めるからです。
ネットで髪を押さえつけて、その上からフルウィッグを装着する。
自毛。
ネット。
フルウィッグ。
これは暑い。
気温が20度を超え、25度に近づく頃になると、蒸れや不快感を感じる方が増えてきます。
そして、この頃から
「もう外したい」
と思う方が多くなってくるのです。
家の中だけでもウィッグを外したい。
でも、外せない。
小さなお子さんがいて、ご自身の病気を隠して過ごしている方もいます。
家族構成や環境は人それぞれですが、
「家にいる時ぐらい外したい」
そう思わない方はいないでしょう。
そして、一番ストレスを感じる場所があります。
暑さでもありません。
家族への気遣いでもありません。
それは鏡の前です。
鏡に映る自分の姿。
治療前までロングヘアだった方。
ずっとショートヘアだった方。
皆さん、それぞれの人生があります。
でも、ここまで強いうねりやチリつきを経験したことはないはずです。
髪がないことではありません。
髪が生えてきた姿でもありません。
「元の自分ではない」
その現実を毎日直視してしまうこと。
それが一番つらいのかもしれません。
「しょうがない」
「見なかったことにしよう」
そう思えたらどれほど楽でしょう。
でも、そう簡単に受け入れられるものではないのが人間です。
周囲の人との距離感に悩むこともあります
さて、職場復帰をすると周囲の人との距離感に悩むこともあると聞きます。
ちなみに病気のことを知らない同僚には、わざわざ伝える必要はないと思いますので、今まで通りの関係性が続くことがほとんどでしょう。
一方で、直属の上司には病気のことや働き方について相談することもあるでしょう。
治療前から仲の良かった方は、
「大変だったね」
「無理しないでね」
と、程よい距離感で接してくれることも多いものです。
ただ、中にはガツガツ聞いてくる方もいます。
驚いてしまうかもしれません。
でも、多くの場合、悪気はありません。
心配してくれていたり、
腫れ物のように扱いたくなかったり、
純粋な好奇心だったり。
もし話したくなければ、無理に伝える必要もありません。
周囲の方にそれとなく配慮をお願いしたり、別の方に
「グイグイ行かない方がいいよ」
と言ってもらう方法もあります。
そして、みなさんご自身ががん患者さんになると気付くのだそうです。
実は、身の回りには同じ経験をしている方が意外と多いということに。
ただ、自分から言わないだけですよね。
ウィッグって意外とバレないものです
「満員電車でバレませんか?」
「初出勤で気付かれませんか?」
「近くで見られるのが怖いです」
そんな不安を抱える方もいらっしゃいます。
でも、経験上、フルウィッグは意外とバレません。
皆さんが思っているほど、人は他人の髪を見ていないものです。
初出勤の日も、
満員電車も、
思っているより大丈夫なことがほとんどです。
だから、バレることに関しては、あまり心配しなくても大丈夫そうです。
ウィッグ生活にも「タイムスケジュール」があります
【0〜5ヶ月】
フルウィッグで過ごす時期。
【5ヶ月〜10ヶ月】
5cmほど生えてくる頃。
ケモカールが始まり、フルウィッグで過ごす時期です。
暑くなる季節と重なると、蒸れや不快感も強くなります。
そして、
「もう外したい」
そう思い始める時期でもあります。
ただ、この頃から少しずつ選択肢も増えていきます。
【1年半〜2年】
「いつまで続くんだろう」
そう思いながらも、髪は確実に伸びています。
相変わらずクセは強いかもしれません。
でも、長さが出てくることで、できることは大きく増えていきます。
ここで縮毛矯正をかけると、劇的に変化する方も少なくありません。
そして、多くの方がウィッグを外し、自毛で生活するようになっていきます。
またヘアスタイルも、少しずつ女性らしい丸みのあるシルエットになってきます。
治療が終わってから時間が経過し、
できることも徐々に増え、
またおしゃれを楽しめるようになっていくはずです。
ウィッグ生活って、いつまで続くんだろう
治療は終わった。
でも、まだ終わらない。
前に進みたい。
社会復帰がしたい。
でも、自信が持てない。
そんな揺れる時期もあると思います。
ただ、ウィッグ生活は永久に続くものではありません。
髪は少しずつ伸びていきます。
そして、髪と一緒に、できることも少しずつ増えていきます。
家では外したい。
近所のスーパーなら自毛で行きたい。
旅行に行きたい。
職場に戻りたい。
人によってゴールは違います。
だから回復美容では、
「いつウィッグを外すか」
よりも、
「どんな場面で、どんな気持ちで過ごしたいか」
を大切にしています。
そのイメージが見えてくると、ご希望と今できることのすり合わせが始まります。
例えば、まだ5cmぐらいしか生えていない時でも、サイドと襟足を短くして全体のバランスを整えることで、
「これなら外に出られる」
と喜んでいただけることがあります。
また、トップの髪が足りなくてヘアスタイルが作れない時も、トップピースとカットを組み合わせることで、自然なスタイルを作れることがあります。
回復美容は、治療後に社会復帰するまでのプログラムです。
社会復帰を果たすためには、「髪の毛」はとても重要な存在です。
髪型が整うことで、人に会えるようになる。
外出できるようになる。
仕事に戻れるようになる。
そして少しずつ、自分への自信を取り戻していく。
医療が病気を治療するものだとしたら、
回復美容は、その先の生活を取り戻していくためのものだと考えています。
「いつまで続くんだろう」
この期間にどんなふうに過ごしたいか、想像してみてください。
今はまだ、その途中にいるだけです。

