抗がん剤治療で髪が抜ける前に、何をしておけばいいの?

抗がん剤治療によって脱毛する可能性があると知らされたとき、多くの方が最初に考えるのは髪のことです。

「治療前に髪を切った方がいいの?」
「どのくらい短くすればいいの?」
「全部剃ってしまった方が楽なの?」
「ウィッグはすぐに買わないと間に合わない?」
「脱毛が始まったら、髪はどう洗えばいいの?」

何を準備すればよいのか分からず、治療が始まる前に、すべてを揃えなければならないように感じる方もいると思います。

しかし、治療前に一番大切なのは、髪の準備をすべて終わらせることではありません。

体調を整え、これから始まる治療を優先することです。

帽子や脱毛中に使う生活用品は、治療が始まってからでもオンラインで購入できます。ウィッグも、すぐに必要でなければ、急いで決める必要はありません。

ただし、髪を切るためには美容室へ出かけなければなりません。治療が始まると、体調が安定せず、美容室へ行くことが負担になる場合があります。

治療前に髪を短くするなら、気持ちが一度落ち着き、体調のよい日にカットだけ済ませておくとよいでしょう。

※脱毛の有無や程度、始まる時期は、使用する薬剤や治療内容によって異なります。ご自身の治療については、主治医や看護師、薬剤師へご確認ください。

【結論】一番大切なのは、体調を整えて治療を受けることです

治療前に、すべての準備を終わらせる必要はありません。

ただし、カットだけは美容室へ出かけなければできません。治療前に髪を短くするなら、体調のよい日にカットだけ済ませておくとよいでしょう。

帽子や脱毛中に使う生活用品は、あとからオンラインでも購入できます。ウィッグも、仕事や外出など、ご自身の生活に必要になる時期から考えることができます。

準備が間に合わないことを不安に思うより、体調と治療を優先してください。帽子や生活用品、ウィッグの準備は、それからでも十分に間に合います。

髪を切るなら、治療前の体調がよい日がおすすめ

治療前に髪を短くするなら、抗がん剤治療が始まる前の、体調が比較的安定している時期がよいと思います。

ただし、病気を告知された直後に、急いで美容室へ行く必要はありません。

すぐに髪を切る気持ちになれないこともあるでしょう。まずは気持ちを一度整理して、それからでも遅くありません。

治療が始まってからは、体力が低下したり、体調が安定しなかったりすることがあります。その状態で美容室へ行くことは、思っていた以上の負担になるかもしれません。

治療の日程と現在の体調を見ながら、無理なく美容室へ行ける日を選んでください。

髪は、どのくらい短くすればよいのでしょうか

脱毛中の扱いやすさだけを考えれば、髪は短い方が楽です。

長い髪のまま脱毛が始まると、抜けた髪とまだ抜けていない髪が絡み合い、自分ではほどけない状態になることがあります。

また、長い髪がまとまって抜けると、目に入る髪の量も多くなります。掃除や洗髪が大変になるだけでなく、気持ちの負担が大きくなる方もいます。

一方で、長い髪で過ごしてきた方が、治療前に突然ショートヘアへ変えることも、気持ちの面で大きな負担になる場合があります。

治療前に髪が長い方は、鎖骨程度の長さやボブを一つの選択肢にしてもよいと思います。

ただし、鎖骨やボブが、脱毛中に最も適した長さという意味ではありません。

これまでの姿から急激に変わりすぎず、髪が長いまま脱毛を迎えるよりも扱いやすい。その両方を考えた、現実的な選択肢です。

もっと短くすることに抵抗がなければ、ショートヘアでも構いません。

もともとショートヘアだった方は、ボブにする必要はありません。ショートレイヤーやマッシュのように、トップの髪も短いスタイルであれば、脱毛中も比較的扱いやすいでしょう。

大切なのは、決められた長さへ切ることではありません。

今の自分が受け入れられる範囲で、脱毛中の負担を少し減らしておくことです。

美容師へ病気のことを話す必要はありません

治療前に髪を短くしたいと思っても、いつもの美容師へ病気のことを話したくない方もいます。

病気について説明する義務はありません。

「少しイメージを変えたくて」
「短い髪にしてみたくて」
「長い髪が扱いづらくなって」
「しばらく美容室へ来られないので」

このように伝えるだけでも、カットはできます。

一方、長年担当してもらっている美容師で、病気について話してもよいと思える関係であれば、そのまま伝えても大丈夫です。

美容師にとって、長く担当してきたお客様ががんの治療を受けることは、決して珍しいことではありません。

多くの美容師は、「元気になったら、また来てください」という気持ちで受け止めると思います。

誰に、どこまで伝えるかは、ご自身で決めてかまいません。

短くすることと、坊主にすることは同じではありません

「いずれ抜けるなら、先に全部剃ってしまいたい」と思う方もいます。

髪が少しずつ抜けていく様子を見たくない。誰かに見られる前に、自分でバリカンを入れてしまいたい。

その気持ちは、自然なものだと思います。

しかし、脱毛に備えて、ご自身で坊主にすることはおすすめしません。

坊主ほど短くなった髪は、タオル、枕、衣類などの布製品へ入り込みます。一度入り込むと、掃除機や粘着クリーナーを使っても、きれいに取りきれないことがあります。

さらに、髪質によっては、短く硬い毛が皮膚へ刺さり、チクチクと痛く感じます。

ある程度の長さがあれば、抜けた髪を目で確認し、つまんだり、まとめて拾ったりできます。

しかし、坊主ほど短い毛は、どこへ付着しているのか分かりにくく、体調が優れない時期に何度も掃除することになります。

カミソリなどを使って頭皮まで剃ると、頭皮を傷つける可能性もあります。

坊主にしないことは、髪を惜しむためではありません。

脱毛が始まったあとの生活と掃除を、少しでも楽にするためです。

ウィッグは治療前に用意した方がよいのでしょうか

治療中も仕事を続ける方、人と会う予定が決まっている方、先に用意することで安心できる方は、治療前にウィッグを選んでおく意味があります。

脱毛が始まってから探そうとしても、体調や気持ちの状態によっては、店舗へ行ったり、複数の商品を比較したりすることが負担になる場合があるからです。

一方で、自宅で過ごす時間が多い方や、帽子を中心に生活できる方は、脱毛が始まってから考えても遅くない場合があります。

ウィッグはオンラインでも購入できます。

治療前にウィッグを購入するかどうかは、治療中の生活によって変わります。

  • 治療中も仕事を続けるのか
  • 通院以外にも外出する機会があるのか
  • 人と会う予定が決まっているのか
  • 帽子を中心に生活できるのか
  • 先に用意した方が安心できるのか

治療前に買わなければ間に合わない、と焦る必要はありません。

高価なウィッグが、必ず自分に合うとは限りません

人毛、人工毛、ミックス毛、既製品、オーダーメイドなど、ウィッグにはさまざまな種類があります。

人毛やオーダーメイド、アフターフォローなど、高価な商品には魅力的な特徴があります。

オーダーメイドで作れば、自分の頭に合わせた一点ものができるでしょう。

一方で、100%人毛だから、すべての点で人工毛より優れているとは限りません。人毛には自然な質感がある一方で、褪色や日々の手入れが必要になることがあります。

人工毛も技術開発が進み、以前より自然で扱いやすい商品が増えています。

価格と手入れのしやすさのバランスから、人毛と人工毛を組み合わせた商品が使いやすいと感じる方も多いと考えています。

初めてフルウィッグを使う方は、実際の生活の中で使ってみなければ、自分に必要な機能が分からないことがあります。

ウィッグの締めつけ、重さ、長さ、暑さ、着脱のしやすさ、手入れのしやすさなど、使って初めて分かることがあるからです。

そのため、ウィッグにかける費用を調整したい方は、一つのウィッグへ大きく投資するのではなく、必要に応じて2つ目、3つ目を購入できるように予算を残す方法もあります。

長さや雰囲気の異なるウィッグを複数持つことで、気分や予定に合わせて使い分けることもできます。

美容師としての印象では、1万円から2万円程度の商品は、光沢感が気になるものもあります。5万円前後の商品は、見た目、機能、価格のバランスを取りやすい範囲だと感じています。

ただし、すべての方に5万円前後のウィッグが必要という意味ではありません。

実際にお客様からも、

「高価なものを買ったけれど、自分にはそこまでの機能は必要なかった」
「値段より、メーカーや形が自分に合うかどうかの方が大きかった」

という話を聞くことがあります。

ウィッグは、価格だけで選ぶのではなく、ご自身の生活と、どのくらい使用するのかを考えて選ぶことが大切です。

自治体によって助成制度が異なります

お住まいの自治体によっては、医療用ウィッグなどの購入費用について、助成を受けられる場合があります。

ただし、対象となる商品、補助される金額、申請期限、必要書類などは自治体によって異なります。

ウィッグを購入する前に、お住まいの自治体や、病院のがん相談支援センターへ確認しておくと安心です。

帽子は、柔らかく洗えるものを選ぶといいでしょう

髪がなくなって初めて、髪が頭皮をさまざまな刺激から守っていたことに気づきます。

脱毛中に使う帽子は、できるだけ柔らかく、金属部品などが頭皮へ直接当たらないものがよいでしょう。

また、頭皮は皮脂や汗が出るため、自宅で洗濯できることも大切です。

  • 柔らかい素材
  • 縫い目や金属部品が頭皮へ当たりにくい
  • 締めつけが強すぎない
  • 自宅で洗濯できる
  • 汗や皮脂を吸いやすい

外出するときは、ウィッグの上から帽子をかぶる方法もあります。

フルウィッグが必要ない場面では、前髪だけの部分ウィッグと帽子を組み合わせる方法もあります。

治療前に帽子を何枚も買い揃える必要はありません。脱毛中の生活や、再生毛の伸び方に合わせて選び直してもよいでしょう。

脱毛が始まったら、入浴前に髪をブラッシングすると後がラクです

抗がん剤治療による脱毛は、髪を強く引っ張って抜くというより、日常の動作の中で「スルッと抜ける」ことがあります。

そのままシャンプーをすると、抜けた髪と残っている髪が浴室で絡み合うことがあります。

入浴前に洗面所へ使い捨てシートなどを広げ、その上で髪をゆっくりブラッシングしておくと、その後のシャンプーが少しラクになります。

髪が絡みにくいことを特徴とするブラシや、頭皮への当たりが柔らかいクッションブラシが使いやすいでしょう。

ブラシを頭皮へ強く当てず、髪を引っ張らないように、大まかな絡まりをゆっくりほぐします。

抜ける状態になった髪は、この時点でスルッと外れることがあります。

ブラッシングが終わったら、落ちた髪をシートごと丸めて処分します。

入浴前に抜ける髪をある程度減らしておくと、お風呂場やドライヤー中に広がる髪を減らせます。

髪が絡みにくい洗い方もあります

脱毛中のシャンプーでは、爪を立てず、指の腹を使って優しく洗います。

ただし、普段のように指を左右へ動かして、シャカシャカと洗うと、抜けた髪と残っている髪が絡みやすくなります。

指の腹を頭皮へ当てたまま、指の関節をゆっくり伸び縮みさせるように洗ってください。

これは、美容師が髪の絡まりやすい方をシャンプーするときにも使う動かし方です。

指を横へ大きく動かさないため、髪同士がこすれにくく、力も強くなりすぎません。

絡まった髪を無理に引っ張らないでください。

トリートメントをなじませ、目の粗いコームを使って、毛先から少しずつほぐします。

どうしてもほどけない場合は、無理に引っ張るより、絡まった部分を切った方が頭皮への負担を減らせます。

ドライヤーは、熱すぎず強すぎない風がちょうどいいです

熱いと感じる温度ではなく、ほんのり温かいと感じる程度の温度で乾かします。

ドライヤーを頭皮へ近づけすぎず、同じ場所へ長く風を当て続けないようにしてください。

強風で乾かすと、抜けた髪が室内へ飛び散りやすくなります。

普通からやや弱い風で乾かすと、抜けた髪が飛び散りにくくなり、その後の掃除も楽になります。

乾燥して頭皮がつっぱる場合は、頭皮用の保湿ローションを使えることもあります。

ただし、頭皮へいろいろな商品を次々につけることはおすすめしません。

頭皮は痛みに敏感です。体調が安定しない時期に頭皮まで炎症を起こすと、生活の負担がさらに増えてしまいます。

赤み、痛み、湿疹、傷などがある場合は、自己判断でさまざまな製品を重ねず、医療機関へ相談してください。

抜けた髪が飛び散らないように、ヘアキャップが便利です

着替えるためにTシャツへ頭を通しただけでも、髪がスルッと抜け、衣類へ付着することがあります。

この時期に役立つのが、使い捨てのヘアキャップです。

ずっとかぶり続ける必要はありません。

  • 寝るとき
  • 着替えるとき
  • 帽子の下
  • 枕や寝具への付着が気になるとき

こうした場面で使うと、抜けた髪が衣類や布団へ広がりにくくなります。

出かける直前になって、洋服へ付着した髪を粘着クリーナーで何度も取る負担を減らすためにも役立ちます。

排水口には、使い捨てフィルターを用意すると掃除がラクになります

脱毛が始まると、お風呂場や洗面所にも髪がたまりやすくなります。

排水口へ使い捨てのフィルターを設置しておくと、髪がたまったときに、フィルターごと処分できます。

排水口のキャッチャーを選べる場合は、ステンレス製も使いやすいでしょう。

プラスチック製品には髪がまとわりつきやすいのですが、表面が滑らかなステンレス製品は、比較的髪を取り除きやすい特徴があります。

美容室のシャンプー台でも、排水部分にはステンレス素材が多く使われています。

少しの準備ですが、体調が優れない時期の掃除を減らすことにつながります。

抜けた髪の掃除は、家族に頼んでも大丈夫です

脱毛が始まる時期は、抗がん剤治療による体調不良と重なることがあります。

床へ落ちた髪を集めるために下を向くことも、体調によっては大きな負担になります。

床の髪を集める、排水口のフィルターを交換する、寝具や衣類についた髪を取る、生活用品を注文する。

こうしたことは、家族や身近な方へお願いできます。

治療による痛みやつらさを代わることはできなくても、掃除なら手伝える。

ご家族も、そう考えているかもしれません。

自分で行うのがつらいときは、ひとりで抱えず、お願いしてかまいません。

治療前に、すべてを用意できなくても大丈夫です

治療前に何を用意しておけばよいのか。

この問いに、すべての方へ共通する一つの正解はありません。

仕事を続けるのか、自宅で過ごすのか。人と会う予定があるのか。帽子で生活できるのか。ウィッグを毎日使うのか。

生活が違えば、必要になるものも変わります。

また、治療前にすべてを買い揃えられなかったとしても、帽子や生活用品、ウィッグなどは、治療が始まってから用意できます。

実際に、治療前から回復美容の記事を読んでいたお客様から、

「これから髪がどうなるのか分かっていたから、不安が少なかった」

と伺ったことがあります。

物をすべて揃えることだけが、治療前の準備ではありません。

これから何が起こり、そのとき何ができるのかを知っておくことも、大切な準備です。

まとめ|準備よりも、体調と治療を優先してください

治療前に一番大切なのは、髪の準備や買い物をすべて終わらせることではありません。

体調を整え、これから始まる治療を受けることです。

治療前に髪を短くする場合は、体調のよい日に、カットだけ済ませておくとよいでしょう。

脱毛中の扱いやすさだけを考えれば、髪は短い方が楽です。

ただし、長い髪で過ごしてきた方が、突然ショートヘアへ変えることは、気持ちの負担になる場合があります。

その両方を考え、鎖骨程度の長さやボブを一つの選択肢として提案しています。

帽子、ヘアキャップ、排水口フィルターなどは、治療が始まってからでも購入できます。

ウィッグも、仕事や外出など、ご自身の生活に必要になる時期から考えることができます。

すべての準備が間に合わなくても、必要なものは治療が始まってから用意できます。

準備ができなかったことへ不安を向けるより、体調と治療を優先してください。

CISTAが考える順番は、まず治療です。その後、髪の回復に合わせてできることを選び、社会生活や学校生活へ戻っていく。その過程を支えるのが回復美容です。

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CISTA/綱島本店.平日10:00~17:30休日10:00~19:00 .|.東横線「綱島駅」から徒歩2分 .|.東急新横浜線「新綱島駅」から徒歩5分

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