抗がん剤治療を終えて、生えてきた髪が以前とはまったく違う。
強くうねる。
細かくチリつく。
乾かしても広がり、どうしてもまとまらない。
治療前は直毛だった方にも、このような髪質の変化が現れることがあります。
抗がん剤治療後に生えてくる、強くうねった髪は「ケモカール」と呼ばれることもあります。
では、なぜ治療後の髪はうねるのでしょうか。そして、以前とは違う髪に対して、美容師には何ができるのでしょうか。
このページでは、現在分かっていることと、まだ分かっていないことを分けながら、CISTAが再生毛をどのように見極め、縮毛矯正の可否を判断しているのかをお伝えします。
【結論】治療後に髪質が変わることはありますが、うねりが生じる詳しい仕組みは完全には分かっていません
抗がん剤治療後には、以前よりも髪が細くなる、太さが不均一になる、色や手触りが変わる、強くうねるといった変化が見られることがあります。ただし、すべての方に起こるわけではなく、なぜ直毛が巻き毛になるのかについても、詳細な仕組みは完全には解明されていません。CISTAでは、医学的な原因を断定するのではなく、今ある髪の長さ、太さ、うねり、ダメージ履歴などを確認し、その髪に縮毛矯正ができるかを美容師として判断します。
抗がん剤治療後に、髪質が変わることはあります
抗がん剤は、活発に分裂する細胞に作用します。
髪をつくる毛包の細胞も活発に分裂しているため、治療の影響を受け、脱毛が起こることがあります。
治療後に髪が再び生えてきたとき、以前とは異なる状態になることも報告されています。
- 直毛だった髪が強くうねる
- 以前より細い、または太く感じる
- 髪の色が変わる
- 乾燥しやすく感じる
- 毛量や生え方にばらつきがある
- 部位によって髪質が異なる
こうした変化には個人差があり、すべての方に同じように現れるわけではありません。
時間の経過とともに治療前に近い髪質へ変わっていく方もいれば、うねりや毛量の変化が長く続く方もいます。
なぜ髪がうねるのかは、完全には解明されていません
抗がん剤治療後の髪については、「薬の影響で毛根が変形する」「毛穴の向きが変わる」と説明されることがあります。
しかし、治療前には直毛だった髪が、治療後に強くうねって生えてくる詳しい仕組みは、現在も完全には分かっていません。
抗がん剤によって髪をつくる細胞や毛包が影響を受け、その後の毛髪形成が一時的に変化する可能性は考えられています。
一方で、使用された薬剤、治療期間、年齢、ホルモン環境、もともとの髪質など、複数の要素が関係すると考えられるため、ひとつの原因だけで説明することはできません。
そのためCISTAでは、医学的な原因を美容師の立場から断定しません。
私たちが判断できるのは、今生えている髪がどのような状態で、その髪に美容技術を使うと何が起こる可能性があるのかということです。
短い再生毛は、実際以上にクセが強く見えることもあります
治療後の髪が扱いにくい理由は、髪質の変化だけではありません。
生え始めた髪は短いため、髪の重さによってうねりが伸びることがありません。
そのため、髪が長くなったときよりも、短い時期の方がカールや広がりが強く見えることがあります。
さらに、トップ、顔まわり、襟足では、髪が生え始める時期や伸び方が同じとは限りません。
トップは短いのに襟足だけが長い。顔まわりは細いけれど、後頭部は強くうねる。このように、長さと髪質のばらつきが重なることで、髪型としてまとまりにくくなります。
「クセが強い」という一言だけでは、治療後の髪の扱いにくさを説明できないのです。
CISTAが再生毛を普通のクセ毛と同じように扱わない理由
縮毛矯正では、髪の状態に合わせて薬剤と熱を調整する必要があります。
これは治療歴のない髪でも同じです。
ただし、抗がん剤治療後の再生毛では、一本の髪の中や、頭の部位ごとに状態が異なることがあります。
- 根元と毛先で太さや手触りが違う
- 顔まわりだけ細く、切れやすく見える
- 襟足とトップで、うねりの強さが違う
- カラーをしている部分としていない部分が混在している
- 日常的なヘアアイロンによる負担が重なっている
- 短いため、アイロン操作が難しい
このような髪に対して、すべての部分へ同じ薬剤と同じ熱を使うと、必要以上の負担を与える可能性があります。
CISTAでは、髪がどこまで薬剤と熱に耐えられるのかを「毛髪体力」という言葉で捉えています。
毛髪体力は、見た目のクセの強さだけでは判断できません。
髪の太さ、手触り、カラーや縮毛矯正の履歴、日常的なアイロンの使用状況などを確認しながら、施術できる範囲を見極めます。
縮毛矯正を急がない方がよい理由
髪が強くうねり始めると、できるだけ早く縮毛矯正をしたいと思うかもしれません。
しかし、髪が短い段階では、クセを伸ばすことができても、希望する髪型をつくれない場合があります。
トップの髪が短ければ、縮毛矯正後に根元から髪が立ち上がり、かえって不自然に見えることもあります。
また、襟足だけが長い状態で全体を真っすぐにしても、髪型としてのバランスが整うとは限りません。
縮毛矯正は、クセを伸ばすためだけの施術ではありません。
施術後に、自分で乾かして生活できる髪型として成立することが大切です。
そのためCISTAでは、クセの強さだけで施術時期を決めず、髪型をつくるために必要な長さがあるかどうかも確認しています。
CISTAでは「治療から2年以上」と「トップが耳に届く長さ」を目安にしています
CISTAでは、回復美容として縮毛矯正を行う目安を、原則として次のように定めています。
- 最後の抗がん剤治療から2年以上が経過していること
- トップの髪が耳に届く程度まで伸びていること
この基準は、医学的に安全性を保証する期限ではありません。
CISTAが実際に治療後の髪を扱ってきた経験から、髪の状態を判断し、髪型として成立させるために設けている施術上の目安です。
2年以上経過していても、すべての方に縮毛矯正ができるとは限りません。
反対に、期間だけが施術判断のすべてでもありません。
実際の施術可否は、来店時に現在の髪の長さ、毛髪体力、カラー履歴、頭皮の状態などを確認したうえで判断します。
CISTAが縮毛矯正前に確認していること
抗がん剤治療後の髪に縮毛矯正を行う場合、CISTAでは最初に完成後の形を考えます。
確認するのは、クセが伸びるかどうかだけではありません。
- 最後の抗がん剤治療からどのくらい経過しているか
- トップ、顔まわり、襟足に必要な長さがあるか
- 髪の太さやうねりに、どの程度のばらつきがあるか
- カラーやブリーチ、縮毛矯正の履歴があるか
- 自宅でヘアアイロンを使用しているか
- どのような髪型を希望しているか
- 施術後に自分で扱える形になるか
そのうえで、できることと、現在の長さや状態ではできないことを共有します。
治療前とまったく同じ髪質や髪型に戻せるとは限りません。
だからこそ、施術前に「どこまで整えられるのか」「何を残す必要があるのか」という成功ラインを確認することが重要です。
薬剤よりも先に、髪の見極めが必要です
抗がん剤治療後の髪にだけ使用できる、特別な縮毛矯正剤があるわけではありません。
大切なのは、薬剤の商品名ではなく、今ある髪に対して、どの程度の作用と熱が必要なのかを判断することです。
CISTAでは、部位ごとの髪の状態を見ながら、薬剤のpH、還元剤の種類や濃度、放置時間、アイロン温度などを調整します。
クセが強いからといって薬剤を強くすればよいわけではありません。
反対に、弱い薬剤を使えば必ず傷まないというわけでもありません。
薬剤と熱の両方を、髪の状態に合わせて組み立てる必要があります。
CISTAが重視しているのは、強く伸ばすことよりも、施術後の髪に必要な体力を残すことです。
縮毛矯正でできること
施術できる条件が整っていれば、縮毛矯正によって強いうねりや広がりを落ち着かせられることがあります。
- 乾かしたときの広がりを抑える
- 毎朝のアイロン時間を減らす
- 髪型としてのまとまりをつくる
- 自毛で過ごしやすい状態へ近づける
- フルウィッグから自毛へ移行するきっかけをつくる
ただし、仕上がりは治療前の髪質、現在の長さ、毛量、ダメージの状態によって異なります。
縮毛矯正をすれば、必ず治療前と同じ髪へ戻るわけではありません。
縮毛矯正でもできないこと
縮毛矯正は、現在生えている髪のうねりを整える技術です。
髪を早く伸ばしたり、毛量そのものを増やしたりする施術ではありません。
- 足りない髪の長さを補うこと
- 治療前と同じ毛量に戻すこと
- すでに失われた髪の体力を元に戻すこと
- 今後生えてくる髪のうねりを止めること
- 治療前と完全に同じ髪質を再現すること
髪の長さや毛量が足りない場合は、カット、ウィッグ、トップピースなどを使いながら、次の段階まで待つ方が現実的なこともあります。
「今は施術しない」という判断もあります
希望されても、現在の髪に縮毛矯正を行わない方がよいと判断することがあります。
- 髪型をつくるための長さが足りない
- 髪の一部に強いダメージがある
- カラーや日常のアイロンによる負担が大きい
- 希望する仕上がりと、現在できることの差が大きい
- 施術後の方が扱いにくくなる可能性がある
何かを施術することだけが、美容師の仕事ではありません。
今は待った方がよいと伝えることも、髪を守り、次の選択肢を残すために必要な判断です。
CISTAでは、この「やらない判断」も回復美容の一部だと考えています。
仕上がりは、当日だけでは判断できません
縮毛矯正は、施術直後がきれいであれば、それだけで成功とは限りません。
自宅でシャンプーをし、自分で乾かしたときにどうなるのか。数週間が経過しても、毛先が硬くなったり、引っかかったりしないか。
CISTAでは、施術直後だけではなく、普段の生活へ戻ったあとの状態を重視しています。
特に大切にしているのが、最初に自宅で髪を扱う「3日目の壁」と、施術の持続性が見えてくる「2ヶ月後」です。
再生毛に対する縮毛矯正も、その日の見た目だけではなく、毎日の生活の中で扱える状態が続くことを目標にしています。
髪質が変わっても、すぐに何かをする必要はありません
抗がん剤治療後に髪がうねることはあります。
けれど、うねりが出たからといって、すぐ縮毛矯正をしなければならないわけではありません。
髪が伸びることで重さが加わり、短い時期より扱いやすくなることもあります。カットで形を整えたり、ウィッグやトップピースを活用したりしながら待てる場合もあります。
大切なのは、髪質が変わった原因を決めつけることではありません。
今の髪に何が起きているのかを見て、現在できることと、まだ待つべきことを分けることです。
CISTAは、抗がん剤治療後の髪を無理に治療前へ戻そうとは考えていません。
今ある髪の毛髪体力と長さを見極めながら、自分の髪で過ごせる状態へつなげていく。
それが、再生毛に対するCISTAの回復美容です。
参考情報
抗がん剤治療後には、生えてくる髪がくせ毛、軟毛、剛毛、白髪などに変化することがあります。
ただし、変化の現れ方や元の髪質に近づくまでの期間には個人差があります。また、治療後の髪へパーマ剤や染毛剤を使用する場合は、髪の長さだけでなく、頭皮の状態なども確認する必要があります。
抗がん剤治療後の髪について、さらに詳しく知りたい方へ
髪が生え始める時期、ウィッグを外すまでの過程、カラーや縮毛矯正を考える時期など、抗がん剤治療と髪に関する疑問をまとめています。
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